東洋医学コラム(3) 本治と標治

 

東洋医学コラム(3) 本治と標治

みなさんこんにちは。今日は、本治と標治についてお話します。

東洋医学では、「本治」と「標治」という西洋医学には無い考え方があります。

本治とは病気の原因となる本質を治す治療(根本療法)、標治とは今ある症状のみを治す治療(対症療法)のことです。西洋医学的な治療法は、ほとんどが標治(対症療法)による治療となります。これは、西洋医学的な診断治療の方法に由来します。西洋医学は、診察に基づいてまず診断病名を付けます。そして診断病名に基づいた治療(手術や投薬など)を行います。さらには、皮膚の病気は皮膚科、腸の病気は消化器科など、病気の場所ごとに診療科が分かれるため複数の症状の奥に隠れた原因(本治すべき原因)がはっきり特定されないまま治療が続くことがあります。

 一例を挙げますと、アレルギー疾患に対して抗ヒスタミン薬を投与することは標治ですが、腸内環境を整えることでアレルギー症状を軽減させるように考えるのが本治です。

小建中湯という腸疾患に使う漢方薬がありますが、小児ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に体質改善目的で使うことがありますがこれも本治の考え方です(余談ですが、小建中湯は小児疾患によく使いますが、飲みやすいので抵抗なく飲める子が多いようです)。

アレルギー性疾患を、腸の不調を良くすることで軽減に導くというのは、東洋医学の陰陽五行説の相克・相生(そうこく・そうじょう)の概念に由来します(難しくなるので詳細は割合します)。

東洋医学では、本治と標治を上手く使い分けた治療を行います。「急即標治、緩即本治(急なればすなわちその標を治し、緩やかなればすなわちその本を治す)」という言葉があります。簡単にいうと、症状が激しく患者が苦痛に耐えられないとか、ほっておくと生命に関わるような時は、今ある症状(標)を治療し、症状はあっても日常生活に困ることが無く、ほっておいても生命に別状がない時は、根本原因(本)を治療しなさいということです。

 当院で行う東洋医学的治療は、この本治を最終目標とした治療を行うよう努めております。

鍼灸治療も本治の一手段ですが、鍼の効果が筋膜への作用によるものであることが科学的に分かってきており、筋膜を操作する徒手療法、その他さまざまな徒手治療を鍼治療と組み合わせることで治療効果を高める取り組みも行なっております。

 本治できると、体が本来持っている自然治癒力が戻ってくるため、必要な薬の量と種類を減らしていくことも可能になります。現在たくさんの薬を飲んでいるが、なるべく不要な薬は飲みたくないと思われる方、今かかっている病気を根本から見直したいと思われる方、お気軽にご相談ください。

門元 俊樹 内科医(東洋医学担当)

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